2020年2月23日日曜日

アメリカ政治史の一幕を描く映画「LBJ」

ジョン・フィッツジェラルド・ケネディが大統領だった当時、副大統領を務めていたリンドン・ベインズ・ジョンソンの物語。ケネディ暗殺後にすぐに大統領に就き、苦悩を抱えながらも民主党内の意見調整に奔走する様子が描かれている。おじさんたちの密談のようなシーンが多いので、画に華がないのが残念である。

映画「LBJ ケネディの意思を継いだ男」の公式サイト
http://lbj-movie.jp/

この映画の正しい見方は、映画では描かれていないアメリカ史を俯瞰することにあるだろう。

南北戦争当時、共和党は反奴隷制度を掲げていたのに対し、民主党が奴隷制度を支持していた。この事実は、現在の両党の姿と大きく乖離している。北軍が勝利し奴隷制度は崩壊したものの、人種差別は実質的に存在し、またさらにエスカレートするような動きもあった。このあたりはKKKと関連した映画「國民の創生」「ブラッククランズマン」などが参考になる。




北部出身のケネディが掲げた公民権法案に対して、南部の保守派白人層を支持基盤に持つジョンソンは中道右派的なポジションだった。しかし大統領就任後、ケネディの遺志を継承し、公民権法案の成立に尽力する。それはジョンソン大統領の大きな功績と言えるが、同時に南部の白人保守層は共和党支持へと傾いていく。

ジョンソン大統領というと、ベトナム戦争を更なる泥沼に引きずり込んだとして悪評が高いが、この映画は功績の部分についてスポットを当てた映画だ。アメリカ史を学ぶ教材としてお勧めである。

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